ジュリエットじゃ終わんない


「おい、アレ!」


トレーニングで土手を走っていた磯崎道場生。

叫び声にそう反応した宏が、前方の深紅を指差す。



「………」


宏と同じタイミングで気付きながらも…
その反応に、無言で応える柊也。

だけど驚きの表情で、視線は釘付けになっていた。



「行ってやれよ…
アレ、みくちゃんだろ?」


「…

いや、俺は…」


困惑の表情で呟くと…

振り切るようにペースアップして、その場を通り過ぎる。



「お前、いーのか!?
どー見たって様子がおかしいだろ!」

追いついた宏が助けを促すも…


柊也は何も答えずに、
拳をグッと強く握って走り続けた。



そんな様子を怪訝に思いながらも…
軽く溜息を零し、ランニングモードに切り替える宏。

でもすぐに…



「…っ、すいません」


その声に反応する。


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