ジュリエットじゃ終わんない
「あ、コレいー曲〜」


パンをかじりながら、勝手にイヤホンを耳に当てて呟く豊田。


「ってより、懐かしいなー。
中学ん時はいつもしてたもんなー」

コンコンとイヤホンを指して、独り言みたいに続けた。



だから?

てか、空気読めよ。



そのあとも時々独り言を零して…

あたしが食べ終わって少し経った頃、
「じゃあなー」ってイヤホンを返して、

やっと消えた。



席を立つタイミングがつかめなかったんだろーけど…

ずっとシカトだったし、もう来ないよね。




そして5限目からは…

行くトコもないし、授業中はイヤホンを外した。




なんの為に授業を受けて、

なんの為に進路に進んで、

なんの為に生きてくのか…


そんなん わかんない。



この先もきっと、何処にも居場所なんかないし…

要らないし。



ただ…




そーやって淡々と生きてくしかないんだ。


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