ジュリエットじゃ終わんない
ぶわっ、と…


なんの前触れもなく、涙が溢れた。




目の前に、あたしを心配してくれる人が居る。






柊也にしか映らないと思ってた…


見えないあたし。

隠れた気持ち。



だけど…

「…気付いて…っ、くれてたんだっ…」


涙声で呟いた。




「当然だ。

だが、見守る事しか出来んかった…」



主語がない呟きも、解ってくれて…


その返事にふと、思い出す。



ーいつまで深紅を此処に置くつもりだ?
母親たるもの己の道は捨て、その責任を果たさんか!ー




あの頃は…


バカみたいにただ、"お母さん"を責めないでって思ってたし、

あのヒトが言ってたみたいに、あたしのコトがメーワクなんだと思ってた。



だけど思い返せば…


ジィちゃんが怒るのはいつだって、あたしのために繋がるコトだった。




ずっと…


ずっと、護ろうとしてくれてたんだね…




「うっっ…、ジィちゃん…っっ!」


思わず泣き付くと…



「すまんかった、
すまんかった…

だが…


ジィちゃんはいつでも、深紅の味方だ」



そー言ってあたしの背中を、大事そーにさすってくれた。
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