ジュリエットじゃ終わんない
「よーし!一旦休憩!」
師範の号令で、一斉に散る磯崎道場生。
柊也も水分補給をして、1人項垂れてると…
心配した宏が、その肩を叩く。
「どしたァ?最近元気ね〜ぞ!
みくちゃんが来ないからか〜!?」
「…
もう…、来ないです…」
寂しげな瞳を覗かせる。
「なんだァ?ケンカでもしたのか?」
その問いかけに、無言を返す。
「…
お前だって惚れてんだろ?
いつまでも項垂れてねぇで、しっかり捕まえとけよ」
「…
俺は…
苦しめるだけだし…」
そう聞いて、頭をグシャグシャ掻く宏。
「んあ〜!!焦れったい奴だな!
苦しめたら救ってやりゃあいーだろ!
その都度、何度でも。
お前らん事はわかんねぇけど…
試合でもそーだろ?
怯えは悪い結果しか生まねぇし、
諦めは自分にも相手にも失礼だ!
そーゆーの乗り越えて来たお前なら、わかんだろ!?」
「そんな単純な事じゃ…」
宏の言葉に納得しながらも。
離れて行った深紅の行動を、
それが望んだ決断だと思って…
どうする事も出来ないでいた。