ジュリエットじゃ終わんない
「深紅っ!」


呼び声と同時、力強く掴まれた腕。



ぐっと振り向かされた先には…

息を切らす柊也!



ドキンッ!と、激しく鼓動した。




え、気づいたの…!?

てか、追いついたのっ!?



どんだけ全力疾走したんだろ…

って、胸が痛いくらいざわめいてる。




「…っ今の、
豊田の、部活仲間でっ…」


乱れた呼吸で必死の弁解。




疑ってるワケじゃないよ…

ただ、ヤだっただけ。


けど、それもいーよ。



必死に追っかけてくれただけで…


泣きそーなくらい嬉しい…!




だから。


「…ち、違うよっ?
サイフ忘れちゃってさ!
慌てて取りに戻ったんだけど…
やっぱ今日はやめとこっかなっ!

でもっ、ありがとっ…


てか、戻りなよ!
豊田とかびっくりしてんだろーし、
ほら、ココだと…」


って指差した前方には、あたしのクラス。



穂花の"お願い"は、柊也にも伝えてるワケで…

ためらいがちに頷いて、戻ってく。




だけど掴まれてた腕には、キミの力強さが残ってて…

また、頑張れる。
< 272 / 297 >

この作品をシェア

pagetop