ジュリエットじゃ終わんない


「お母さんは?…」


「うん。

検査も異常なくて…
今は疲れて、眠ってる」



念のために運ばれた病院で、
手当てが終わったお父さんと言葉を交わす。



あの時お父さんは、身を呈して…

間一髪でお母さんを助けた。




「…大丈夫?」

その腕の包帯を指差すと。


「こんなの擦り傷だよ」って、笑った。




「…

なんでお母さんなの?」


ずっと疑問だった…



ケンカばっかだし。

柊也ママに比べたら、見た目も中身も負けてるし…


だからこそ、お母さんの嫉妬も加速したんだろーけど。



あんな、むちゃくちゃな人なのに…

危険もかえりみずに、迷いなく助けるなんて。





「愛してるからだよ」



そう、まっすぐな瞳で微笑んだ。


そして隣で見守ってる柊也をチラ、と映して語り出す…
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