ジュリエットじゃ終わんない
「前の妻はね…

子供をとても大事にする、いい母親だった。


だけどいつも柊也ばかりで…
僕の事なんか放ったらかしで。

強い人だからね…
甘えてくる事も、あまりなくて。


それが寂しくて、ギャンブルや浮気にのめり込んで…

挙句、自ら終止符を打った。



そんな僕だから…


あいつ(深紅の母親)の狂愛は嬉しかった。



喧嘩だって、求め過ぎた結果だし…

誰よりも僕を必要としてくれて、
1番に愛されて…

幸せだと思った」




「勝手だよ…

周りはたまんない」


こっちはそのせーで、1番の場所を失った。




だけど。



きっとみんな…


誰かの1番になりたいんだ。






「…そうだね。

代わりに、深紅ちゃんや柊也を傷つけてしまって…

本当にすまなかった。



だけど…

お母さんは深紅ちゃんを、愛してない訳じゃないんだ。


そして僕も…

柊也を愛してない訳じゃない」



そう視線を向けられて…


柊也の瞳が、動揺を映し出す。
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