ジュリエットじゃ終わんない
「おかあさーん、これも買っていい?」

「もう、しょーがないわね。特別よ!」


クラスのヤな子が、スーパーでそんなやりとりして、得意気にあたしを見た。



店員に呼び止められて…

我に返った時には、遅かった。



お店の人の厚意で、警察沙汰にはなんなかったけど…


「ごめっ…なさい…っっ」

「このバカ娘っ!!
よくもこんな事しでかしてくれたわね!
こんなバカな子とは思わなかった!
私に恥かかせてぇ!
仕事まで早退させて、迷惑かけて!
あんたが自分の娘だなんて思いたくない!
ーーーーーー!!」



泣きじゃくるあたしに、辺りのもん投げまくって、延々となじってたよね。



「もうしないから…っ!

お母さんと一緒に暮らしたいよぉっ!」


「そんな事言える立場!?
次、問題起こしたら…
ずっとあんたとは暮らさないから!」



抱えてきた思いを、やっと伝えたのに…

伝わらないだけじゃなく、脅される。



そりゃあね…
万引きしたあたしが悪いよ?


けど親なら…
その原因とか、知ろうとも思わないの?






寂しくて、

悔しくて、

気を引きたくて…



悪いコトだけど…

精いっぱいの、心の叫びだったんだ。


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