『特別』になりたくて
「それって、どういう」

 
瑞姫に詰め寄り聞き出そうとした瞬間ーー


「そのままの意味だよ。体力測定は学年合同でやったでしょ、それで倒れた時近くにいたのが飛鳥で憂姫ちゃんをおぶって保健室にってわけ」

 
階段の方から九條君が現れて、そう教えてくれた。
多分、瑞姫を追ってきたんだと思うけど……今はそれよりも、


「会長の所在分かりますかっ……」

 
ただ、片桐会長に会いたくて。
さっきまでの孤独感が嘘みたいで……少し浮かれているのかもと思った。


「飛鳥? この時間だと、多分ーー」


九條君の言葉を聞いてすぐ、瑞姫にゴメンと謝罪を挟んでから私は走り出した。


「憂姫のあんな顔初めてみた……」
「いやー、恋する乙女って感じだったね」
「恋かぁ、なるほどーって! 恋って、憂姫が!?」
「さぁね~邪魔しちゃ悪いし、二人で帰ろうか」

 
と、残された二人がこんな会話をしているとも知らずに。
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