『特別』になりたくて
九條君に会長の居場所を聞いて走りだしたはいいものの……。


「生徒会室って一般生徒は入れないんじゃ……」


それを思い出して、立ち止まる。
それに仮に入れて運良く会長もいたとして、私は何をする気なんだろうか。
お礼を言うだけ? でも、それくらいならわざわざわ生徒会室に押し掛けるほどのことではないし。


「やっぱり出直して……」


勢い任せに動くことも出来ず、このまま引き返そうと向きを変えた時だった。

キキィ……

そんな音が近くから聞こえて、次いで足音も聞こえてくる。


「……?」

 
気になって音の方を向くと沢山のプリントを持った会長がこちらに向かって歩いてきていた。
ソレを確認すると背を向け逃げ出そうとするけどーー


「「あ」」

 
思い切り目線が合い、しっかりと認識されてしまった。
これでは無視して逃げ出すなんて出来る訳がなく、苦し紛れに出た言葉は


「手伝いましょうか……?」

 
という何ともありきたりなものだった。
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