『特別』になりたくて
#01放課後
放課後の静な教室の片隅で、私ーー伊波憂姫は親友の八代瑞姫と向い合う形で椅子に座り話していた。
というのも、瑞姫には好きな人がいてその人と上手くいったのかを聞くためなんだけど。
聞かずもがな、笑みの絶えない瑞姫を見ていれば結果は一目瞭然だった。
「憂姫、私ね要人くんと付き合う事になったんだっ」
そして案の定紡がれた言葉はいい報告で、予想はついたものの素直に上手くいったことを嬉しく思う。
好きな人と思い合えたならよかった。
瑞姫がずっと九條君に片思いしていたのは知っていたから。
だから告白すると聞いたときは応援もしたし心配もしたけど……。
「両思いになれてよかったね!」
「うん、これも応援してくれた憂姫のおかげだよ~」
言いながら瑞姫は机越しに抱きついてくる。ちょっと苦しいけど嫌じゃなかった。
「もう、瑞姫は大袈裟なんだから。それより、ほら鞄持って帰ろう?」
机に置かれた鞄を指さしそう言えば、瑞姫は体を離して。
「そうだね! 外も暗くなってきたし……あ」
沈む夕日を見ながら、瑞姫の支度が終わるのを待ってると、不意に焦ったような声を瑞姫が出す。
「あたし、要人くんと帰るんだった……」
サーッと血の気の引いた顔でそういう瑞姫は、今にも泣き出しそうな表情で私を見つめてーー。
「ど、どうしよう。もう約束してから三十分は過ぎてるよ……」
時計を見ながらそういう瑞姫につられて私も時刻を確認する。
現在の時刻ーー午後十七時四十六分。放課後にしては遅い時間だった。
というのも、瑞姫には好きな人がいてその人と上手くいったのかを聞くためなんだけど。
聞かずもがな、笑みの絶えない瑞姫を見ていれば結果は一目瞭然だった。
「憂姫、私ね要人くんと付き合う事になったんだっ」
そして案の定紡がれた言葉はいい報告で、予想はついたものの素直に上手くいったことを嬉しく思う。
好きな人と思い合えたならよかった。
瑞姫がずっと九條君に片思いしていたのは知っていたから。
だから告白すると聞いたときは応援もしたし心配もしたけど……。
「両思いになれてよかったね!」
「うん、これも応援してくれた憂姫のおかげだよ~」
言いながら瑞姫は机越しに抱きついてくる。ちょっと苦しいけど嫌じゃなかった。
「もう、瑞姫は大袈裟なんだから。それより、ほら鞄持って帰ろう?」
机に置かれた鞄を指さしそう言えば、瑞姫は体を離して。
「そうだね! 外も暗くなってきたし……あ」
沈む夕日を見ながら、瑞姫の支度が終わるのを待ってると、不意に焦ったような声を瑞姫が出す。
「あたし、要人くんと帰るんだった……」
サーッと血の気の引いた顔でそういう瑞姫は、今にも泣き出しそうな表情で私を見つめてーー。
「ど、どうしよう。もう約束してから三十分は過ぎてるよ……」
時計を見ながらそういう瑞姫につられて私も時刻を確認する。
現在の時刻ーー午後十七時四十六分。放課後にしては遅い時間だった。