『特別』になりたくて
会長と何事もなく別れた後、自室で携帯に目を通すとメールの受信量に驚きを隠せなかった。

三一件……全部、瑞姫からの質問攻めだった。

内容は好きな人のこととか恋愛に関するもので……九條君に聞いたということも書かれていた。
もしかしなくても、会長への好意のことだよね……?


「どう説明すればいいのか……」

 
うーんと考え込んでしまうほど、色んな質問がバラバラときていて全部に答えるとなると時間が掛かり過ぎるし……。
瑞姫には本当に申し訳ないけどーーここは適当に誤魔化してしまおう! とそう決めて返信をする。


『九條君に何を聞いたか分からないけど、詳しい事はまたってことで(つ∀-)オヤスミー』

 
寝るにはまだ早い時間だけど、こうでもしないと瑞姫は止まらないし。
近いうちにちゃんと話せるといいなぁ。
ここ数日、あんまり瑞姫とは話せてない気がするしね。


「そうと決まったら、補習を少しでも早く終わらせるために勉強頑張ろー」

 
そして、夏休みは瑞姫と沢山遊ぶんだ! バシッと頬を叩いて気合を入れなおす。
試験も終わって明日は終業式。そして明後日からは夏休みだ。

無事赤点を免れた瑞姫のためにも、自分の夏休みのためにも夜遅く、懲りることもなくシャーペンを手に取り机と向き合うのだった。
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