『特別』になりたくて
「えっ、と……」

 
今更なんの事か分からない、なんて言い出す勇気もなく言葉を濁らせ視線を泳がせていると。


「もうっ、憂姫また聞いてなかったでしょ! 最近多いんだから」


状況を把握できてない私に気づいて、瑞姫がぷぅっと頬を膨らませる。
怒った顔も可愛いなんて言ったらまた照れるんだろうなーと呑気に考えていた。


「ご、ごめん。それで……?」
「だから! 明日、明後日の期末試験に備えて今夜皆で勉強会しようって話だよ!」

 
期末試験……もうそんな時期だったっけ。
それにしても瑞姫が自分から勉強しようだなんて……そんなの協力するに決まってる。


「私は大丈夫だけど……瑞姫こそ大丈夫?」
「だ、だ、だ大丈夫だよ! だってほら、補習で夏休み潰したくないし……」

 
なるほど、そういう理由でやる気満々なわけね。納得はしたけど、でもテスト前日にできることは限られてるような……。

そんな思いでうーんと唸っていると会長が口を挟んでくる。
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