『特別』になりたくて
「伊波さんの言いたい事も分かるよ。流石に一夜でどこまで教えられるか……」
「うう……」
「大丈夫だって、学年一位と学年上位が協力してくれれば何とかなるって!」
 

九條君、簡単にそう言うけど瑞姫の成績は……。
でも、協力するって決めたんだし、出来ることをするしかないよね。


「分かった、瑞姫に協力するよ。だから、場所と時間教えてもらってもいい?」


私がそう言うと瑞姫は表情を明るくさせて飛びついて来たのだった。
それを受け止めてから場所と時間を聞いて、それぞれ一度自分の部屋へと戻ることにした。

勉強会の時間は午後二十時、場所は寮内にある空き部屋だった。
それらの情報をメモするとベットの上に座り込む。
二十時までまだ時間はあるけど、夕食を食べたりお風呂のことを考えると……。


「食堂に取り合えず行こうかな」

 
腹が空いては何とやらと言うしね。そう結論づけるなり立ち上がり鞄から財布と部屋の鍵をを取り出すと夕食を求めて歩き出した。
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