『特別』になりたくて
「はぁはぁ……」


と言っても体力に自信のない私がそう長く走れるはずもなく、食堂から少し離れた空き教室の辺りで座り込んでしまった。


「っ、大丈夫……?」

 
呼吸が乱れてまともに会話も出来ない私を気遣うように会長は声を掛けてくれる。
それに対して、何とか頷く動作で大丈夫だと伝えると、呼吸を落ち着けた会長がポツリと呟くように言った。


「声を掛けたばかりに巻き込んでごめんね」
「いえ……私は大丈夫、ですけど。その逃げ出してよかったんですか……?」

 
あの状況なら仕方がないとは言え、少なからず目撃者も居たはずでなんて言うか変な噂や誤解が逃げたことによって広まるかもしれないし。


「あー……なんとかするよ。伊波さんに迷惑は掛けられないし」

 
苦笑気味にそう言うと、そのまま会長は空き教室に入っていって。


「会長……?」
「いや、さっきの騒動で結構時間くっちゃったしここでご飯食べちゃおうかなと思ってさ」

 
会長に言われて時間を確認すると、勉強会開始までもう二十分もなかった。


「本当ですね……こんなに時間が経ってたなんて」

 
てっきりまだ一時間位は余裕があると思ってたのに。
この時間じゃ部屋に戻って食べてると勉強会に遅れてしまいそうだし。
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