もう、きっと君と恋は始まっていた
『ばーか。
私が好きなのは、もう、ずっと、崇人だけ。
きっと、これからも崇人だけ…』
唇を離して、そう崇人に伝えると、崇人は微笑んだ。
そして、
『知佳、もう一回、キスしていい?』
そう言って、私の返事も聞かずに、キスをしてきた。
『知佳、愛してる…』
それは春の温かな、そして優しい風に乗って、私の耳に届く。
最後の力を振り絞って、桜の花びら達が優しく、時に力強く舞う中、私たちは“好き”の想いを言葉からキスに変えて、伝えあった。
きっと、もうずっとこの想いは変わらない。
だって、きっと、もう君と恋は始まっていたから…。
そして、君を愛する喜びも、君に愛される喜びも知ってしまったから。
私と君の恋はこれからも続いていく。
『好き、崇人…』
もう、きっと君と恋は始まっていた。
END