もう、きっと君と恋は始まっていた



由樹君の問いかけに、もう一度右目から涙が溢れ出した。




『知佳、俺を見てよ、あの頃みたいに。
 俺のために泣いてよ、俺のことだけ見ててよ』




見てるんだよ…

…見てるの。



でも…





『知佳、知佳は俺を見てた方がいいと思うけど?』



『……え………?』



『知佳が俺を選ばなかったら、奈々も崇人もお互いの気持ちを知佳に遠慮して言えなくなると思うけど』





その言葉に、左目からも涙が溢れ出した。




『………私はただ……本当にゴミが目に入っただけで……
 私は由樹君のことが好きだったんだよ…?
 今も……今だって、由樹君のことが…』




そこまで言った時、

頭の中に思い浮かんだのは、崇人のあの時の顔。


そして、脳内に響いたのは、“由樹だけ見てろ、知佳と由樹が上手くいくのを願ってる”の言葉だった…



『由樹君のことが好きだよ…』




由樹君に笑って、答えた。

この言葉通りの想いが由樹君に届くように。







でも、由樹君は私のその顔を見て、更に苦しそうな表情に変わっていった。













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