もう、きっと君と恋は始まっていた
*4day 離れていく距離
頭、痛い…
朝、いつもと同じ時間に携帯のアラームが鳴り響く。
でも、いつも以上に体が思うように動かなくて、手を伸ばし、携帯のアラームを切る。
そして起きるとは逆に、私は布団を被る。
布団を被り、目を閉じるものの、目を閉じた瞬間に由樹君の怒った顔、そして奈々の幸せそうな顔が浮かんでくる。
崇人の“由樹だけ見てろ”の言葉が何度も脳内に響く。
どんなに布団を被って、体を縮め、耳を手で押さえても、目を強く瞑っても、それでも三人の顔が消えることはなかった。
『………無理……三人にどう会えばいいか分かんない……』
私はそのまま午前中いっぱいをベッドの中で過ごした。
父も母も朝早くから仕事でいない、たった一人きりで、ベッドの中に埋もれていた。
途中、奈々からメールが何度も入った。
“おーい、体調悪い?”
“今日席替えだよー、来ないとハズレくじだよー!”
“真ん中の列の一番後ろの席、とっといたからね!
ちなみに、あたしが前、そんであたしの隣は由樹になっちゃった”
奈々のメールを受信して、それに目を通す度に、何度も奈々に返信をしなきゃ…そう思った。
でも。
出来なかった。
携帯をベッドに投げて、とりあえず一階のリビングに降りていく。
リビングに入り、テレビをつけたかと思った瞬間、玄関の方でインターホーンが鳴り響いた。
私は渋々と玄関に行くものの、自分がまだ着替えを済ませていないことに気がつき、その場で慌てる。
もう一度、インターホーンが鳴る。
私はそっと、覗き口から外の様子を伺おうとして、そっと小さな丸い穴に目を近づけていく。
『…………え……!?』
私は思わず、声に出してしまった。
その声を聞いてか、中に私がいると知った、その人物は外側から玄関の扉を叩いた。
『知佳、いるんなら開けろよ』
そう言われ、渋々扉を開けると、そこには制服を着た崇人が立っていた。