もう、きっと君と恋は始まっていた




『……知佳。
 あたし…あの時は崇人に“好き”って言えなかった…
 だから、だからね…今度は気持ちを伝えるだけはしたいの…!』





うん。


その通り。


そうだよ、奈々はちゃんと崇人に気持ちを言ってあげて?




そうしたら、私は崇人を諦めるから。








『…奈々、頑張って』



私は奈々の前で微笑んだ、でも心の中は冷たい雨が降っているかのように冷たくなっていくのが自分でも分かった。





『うん…ありがとう、知佳』


そう言って、奈々は可愛く、微笑んだ。




ズキっ……


そう痛んだ、けれども私は表面には出さなかった、いや出さないように必死になっていた。







『ねぇ、知佳?』



『なに?』


ズキズキと痛む心をバレないように、必死で笑顔を作り、奈々に聞き返す。







『ちょっと早いんだけど…。
 崇人も同じ気持ちなら…一日でも早く崇人と本当に彼氏彼女として付き合いたい…』




とても真剣な表情に変わり、奈々はそう言った。



奈々の次に続くであろう言葉が脳裏を過ぎる。




“崇人に告白をしようと思う”






『明日、あたし、崇人に告白しようと思う』






…当たり。



こんなことで当たっても全然嬉しくない…。







でも、それでも。





『頑張って!』



それでも、馬鹿な私は奈々にそう言ってしまった。












バカな私…




自分から、自分の好きな人の恋を応援するのが、間違いだった…。








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