もう、きっと君と恋は始まっていた






『知佳、みんなで奈々のお見舞いでも行かない?』



それは、放課後になって、突然の由樹君からの提案。





『…みんなで?』



『そ、知佳と俺、それに彼氏の崇人、の、三人で』


由樹君の言葉に崇人はポカーンとした顔をしている。







『彼氏なら、彼女の体の具合、心配でしょ?』


由樹君はそう言って、意地悪く微笑み、崇人を見つめる。



崇人は返事もせずに、ただ鞄に荷物を乱暴に入れていく。






『あ…なら、ちょっと待ってて?
 私、学級日誌を職員室に提出してこないといけないから』


私は書き終えたばかりの学級日誌を見せながら、そう話した。






『了解ー』


由樹君はそう言って、笑顔で送り出してくれた。






私が教室を出て、廊下を少し歩いたところで携帯が制服のポケットの中で振動していた。



奈々からの返事かなと思って、私は携帯を取り出し、その場で広げる。


そこには、由樹君からのメールが届いている。




『…由樹君?』


メールを開いて目を通すと、“教室の出入り口に来て”とだけ表示されていた。





『……なんだろう…?』


私は由樹君のこのメールの内容を把握出来ていなかった、でも由樹君の言葉に従った。




教室に戻ってくると、放課後の教室の中には由樹君と崇人の二人きり。



なんだか静かな雰囲気に、由樹君が呼び寄せた理由を考える。









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