もう、きっと君と恋は始まっていた
*10day 崇人と奈々
『知ー佳ー!!
おっはよー!!』
次の日、登校するなり、奈々が飛びついてきた。
これだけ元気いっぱいの声に、行動に、私は微笑む。
『奈々、おはよ。
もう具合はいいの?』
『平気だよー。
連絡くれたのに返せなくてごめんね』
奈々はそう言って、両手を顔の前で合わせる。
『ううん、大丈夫だよ。
奈々が元気になってくれて良かったよ』
私がそう言うと、奈々は困ったように微笑んだ。
『実はね?
昨日、由樹が来てくれたの。
それでね、本当に好きだったら、自分の口で言えって怒られちゃった』
『……え……』
『知佳、ごめんね…。
あたしが代役を頼んだせいで崇人に何か言われなかった?』
『あ…ううん、別に』
『良かったー。
それで、今日こそ、あたし、崇人に告ろうかなって…思ってるんだ』
……え?
もう一度、奈々が言うの?
崇人、奈々にまだ返事してないの?
なんで?
だって、崇人が好きなのは、奈々、だよね?
そうだよ、奈々のはず。
私だって代役を頼まれて、崇人に奈々の想いを伝えたはず…
崇人…もしかして奈々から直接聞くのを待ってるのかな…?
『崇人が来たら、あたし、呼び出してみる!』
奈々がそう言うと、後ろのドアから崇人が入ってきた。
『あ、崇人ー』
奈々はそう言って、崇人に寄っていく。
何か崇人の耳元で、囁いてる感じ。
崇人はそのまま自分のカバン机に放り投げると、そのまま廊下の方に出て行ってしまった。
私は妙に二人のことが気になって、気になって仕方なくて。
そのまま二人の後を追いかけた。