もう、きっと君と恋は始まっていた
『………え……?』
でも、その発した言葉は崇人には届かない…。
違うよ?
違う。
もう、由樹君への想いはもう終わってるの。
もう、ちゃんと“おめでとう”が言えるくらい、もう全然ないんだよ……
私が好きなのは…
『…………あんた、だってば……』
私はたった一人、その場で呟いた。
『知佳』
そう呼ばれ、振り向くと、そこには由樹と奈々が立っていた。
『……あ………』
私がそう、声を発すると、二人は顔を見合わせて、そして微笑む。
『知佳、ごめん……。
やっぱり、由樹のこと、あたしに返してくれる?』
奈々は困ったような顔を見せながら、そう私に言ってきた。
『あたしにとって…由樹はすごい大事な人だったみたいなの』
そう続く奈々の言葉に、私はうん、と頷いた。