もう、きっと君と恋は始まっていた
この奇妙な関係も、残り二日。
私は、一番乗りで学校に登校しようと、急いで家を出た。
絶対に一番、そう、思って登校したのだけれども、先客がいた。
『奈々…由樹君も…。
二人とも早いんだね…』
奈々と由樹君が自分たちの椅子に腰かけ、私の顔を見て、ニコッと微笑んだ。
『知佳、おはよー』
奈々は携帯を片手に、私にそう声をかけてくる。
『おはよ…』
私の言葉を聞くと、奈々はすぐに携帯を私に見せてきた。
『…“分かった”…?』
そこには受信メールの本文に、“分かった”とだけあった。
『何が、“分かった”なの…?』
私が問いかけると、奈々の代わりに由樹君がニコッと微笑み、その口を開いた。
『崇人が、もう来るんだ、ここに』
はい?
由樹君の言葉に、私の頭は真っ白になる。
崇人が来る…?
その言葉が頭の中に何度かこだました後、その意味をようやく理解し、私は一気に動揺し始めた。
『……なんで?』
私が問いかけるも虚しく、人気のない廊下から人の足音が聞こえてきた。
多分、崇人の足音だろう…
『うーん、昨日、言ったでしょ、知佳?』
由樹君はそう言って、席から立ちあがった。
そして私の手を引く。
一気に、由樹君との距離が感じられないほどに近づいていた。
『………え…………?』
言葉は遅かった。
目の前には由樹君の綺麗な顔…
『……え…………』
私も心の中で、そう言ったけど。
でも、それは私の口から言葉として放たれたものではなくて‥
恐る恐る教室の出入り口に目をやると、そこには完全に呆気にとられた顔の崇人が立っていた。