もう、きっと君と恋は始まっていた
『……それは………』
明らか困ったような、複雑な顔を崇人はしながら、そう言う、でもその後に言葉が続くこともなく、また黙ってしまう。
『俺、結構自信あるよ?
奈々と付き合いつつも、知佳のことも大事に出来る自信。
崇人だって、知佳の幸せを願ってんだろ、友達として。
だったら、知佳が一番幸せになれるところにいた方がいいでしょ?』
『あたしも、知佳なら許すよ』
今まで一言も話さず、事の成り行きを見守っていた奈々までもがそんなことを言い始める。
『崇人はそう、思わない?』
その言葉に崇人は顔をあげて、そしてすっごい苦しい顔を見せて。
そして、由樹君に口を開いた。
『知佳は……お前のことが好きなんだぞ…?
二番とか…二股とか…そういうんじゃなくて、知佳を一番にしてやってくれよ…?』
崇人のその言葉は、震えていた。
でも、私は崇人の言葉に怒りを覚えた。
『…………何、言ってんの?』
私は崇人を睨みつけながら、そう問いかける。
私の言葉に、崇人の視線が由樹君から私に切り替わる。
『私、言ったよね…?
崇人のことが好きだって!
ちゃんと、私に崇人に言ったよね!!?』
悔しい。
あんなに緊張したのに。
自分の気持ちを言葉にして伝えるのに、どれだけの勇気を出したか…
それなのに、私は由樹君のことが好き?
『…ふざけんな!!』
もう叫びに近い、その言葉を聞いて、崇人の肩がピクリと動いた。