もう、きっと君と恋は始まっていた




『……私は……。
 崇人のことが好き…。
 ……そう言ってるのに、なんで信じてくれないの!?
 どうして私が由樹君のことを好きだって言うの!?』






悔しい…


悔しい…







『……お前が、お前が由樹のことが好きだって言ったんだろう!?』



崇人は口を開いたかと思えば、私に負けないくらいの声の大きさで、そう言い放つ。






『………言ったよ!?
 でも…それは崇人は奈々と一緒にいられて幸せ、そう言ったからだよ!!』






『…は?意味分かんねーよ…?』







…意味、分からない?


崇人は本当に分からない、きっとそんな顔をしてる。



でも、私にはその態度が、その言葉にいイラつきが募っていく。







『崇人の幸せには奈々が必要だと思ったから!
 どうしても崇人には幸せになってほしかったから…
 そう、言ったんだよ…』






『…誰が…誰がお前に俺の幸せなんかを願ってくれ、なんて言ったんだよ!』






もう、崇人の言葉に涙が出そうになった。



言われてなんかないよ。

頼まれてもないよ。




でも、だって、あんたは奈々のこと…






『……お前なんか、俺の気持ちなんかなんにも知らないくせに!
 なんにも知らないで、由樹のことだけ好きだったくせに…』








もう、怒ってるのか、悲しいのか、崇人の顔からは、崇人が今、どういう感情を抱いてるのか検討もつかないほどの表情だった。







< 99 / 110 >

この作品をシェア

pagetop