もう、きっと君と恋は始まっていた
『……私は……。
崇人のことが好き…。
……そう言ってるのに、なんで信じてくれないの!?
どうして私が由樹君のことを好きだって言うの!?』
悔しい…
悔しい…
『……お前が、お前が由樹のことが好きだって言ったんだろう!?』
崇人は口を開いたかと思えば、私に負けないくらいの声の大きさで、そう言い放つ。
『………言ったよ!?
でも…それは崇人は奈々と一緒にいられて幸せ、そう言ったからだよ!!』
『…は?意味分かんねーよ…?』
…意味、分からない?
崇人は本当に分からない、きっとそんな顔をしてる。
でも、私にはその態度が、その言葉にいイラつきが募っていく。
『崇人の幸せには奈々が必要だと思ったから!
どうしても崇人には幸せになってほしかったから…
そう、言ったんだよ…』
『…誰が…誰がお前に俺の幸せなんかを願ってくれ、なんて言ったんだよ!』
もう、崇人の言葉に涙が出そうになった。
言われてなんかないよ。
頼まれてもないよ。
でも、だって、あんたは奈々のこと…
『……お前なんか、俺の気持ちなんかなんにも知らないくせに!
なんにも知らないで、由樹のことだけ好きだったくせに…』
もう、怒ってるのか、悲しいのか、崇人の顔からは、崇人が今、どういう感情を抱いてるのか検討もつかないほどの表情だった。