女子高生ヒーロー、IN幕末なり。
これしか言えなかった。
だって、きっと彼は、沖田さんは自分がただの熱中症だなんて思ってない。
きっと、ただの風邪でもないことを。
「……なんだ、知ってたんだ。未来から来たって本当だったんだね。厄介だなぁ。」
沖田さんの瞳からは何の感情も読み取れない。
なんとも曖昧な笑みを浮かべて私を見つめた。
「……今ここで、ひかりちゃんを殺してしまえば、真実を知る人はいなくなるよね。……斬ってしまおうかな」
「…ね、ひかりちゃん。」
「…そうかもしれないです。いっそ、そうしてもらった方が私も悲しくないかも」
「冗談だよ。そんな笑い方しないでよ。僕は君を斬れないし、君はきっと僕の刃じゃ殺せない。」
「…………」
言葉が出ない。何も、言えない。
胸が痛くて痛くて仕方ない。
彼はまだ決定的な病魔の名を口にしていないのに。
その名を聞きたくなくて、自分から持ちかけた話なのに、今すぐにでも耳を塞いで終わらせてしまいたい衝動に駆られる。