女子高生ヒーロー、IN幕末なり。
「……殺されたくなかったら、大人しくしておいた方がいいですよ?」

刀を向けられる。
……けど、多分、今のあたしは最強だ。

「はっ!?ヤダ!!」

刀を前にしても、こんな事が言えちゃうのだから。

「…驚きました。こんな命知らずな女子がいたなんて。…けれど、」

ーチャキ。

「僕は本気ですよ?」

鞘から取り出された刀が、顎に触れる。

「あたし、自分を信じてくれない人は嫌いなの。嫌いな人に指図される覚えはないよ」

「…ふむ。随分肝が座っているお嬢さんなんだな。…総司、刀をしまいなさい」

そう言って、あたしの身体に巻き付いた縄を解いた男の人。
厳つい顔とは裏腹に、浮かべる笑みはあったかい。

「近藤さん、何やって…!?」

土方さん(で、あろう人)が慌て男の人を呼んだ。
……近藤さんって、壬生浪士組の局長の人だ。

「俺は彼女を信じたいと思ったんだ。君は、逃げたりはしないだろう?」

……暖かい人柄が好かれていたって、史実に書かれていたけど、本当にいい人なんだと思う。

会って間もないあたしを信じたい、なんて。

< 44 / 238 >

この作品をシェア

pagetop