大人の恋模様

怠い身体を起こして
隣を見た。

佑磨の姿が無い。

「…。出張…いっちゃった…。」

ベットから落ちるように力なく立ち上がり、

リビングへ。

テーブルの上には、佑磨からの手紙。


ー紗江ー
おはよう。よく眠れたか？

朝食を作ったから食べろよ！

今日は、家にいるといい。
なんだったら帰るまで居ていいから。


夜、連絡するから。

いい子にして待ってろ。

紗江…。愛してるよ。

佑磨


「佑磨…。うぇ〜んひっく」

会いたくて、会いたくて、
離れてたら不安で。

どうしたんだろう。

私のワガママで別れて。

仕事で失敗して落ち込んだ私を
友人としてならいいんだろって
慰めてくれた。

あんな勝手な別れをしたのに。

やっぱり…佑磨じゃなきゃ私ダメなんだ
って…。気が付いたけど、素直になれなかった。

佑磨は社内でもモテるから、いろんな人からの
アプローチ。
耐えられなかった。


そんな時、

取引先の坂本さんに
「川奈さん！すみませんが！」

「あっ…。なんでしょう？書類に不備ですか？」

「いや…。あの〜。今晩って予定ありますか？もし良かったらお食事しませんか
迷惑ですか？」

「えっと…。あ〜。大丈夫ですよ。ハイ」
「良かった…。じゃ、後で、連絡するので、アドレスは、名刺のでいいんですよね？」

「ハイ。私のパソコンですから。」

「嬉しいです。マジで！楽しみです」

爽やかな笑顔。坂本さんは、
内の会社でも人気。
柔らかな人柄とスマートな容姿、
いわゆる、草食系イケメン男子。



一度家に帰って
女子力上げるために買った
ワンピースを着て
外に出た。

そこには、
スーツをきた佑磨が。

「何してるの？」
「おまえを待ってた。オシャレして
どこ行く？」

「関係ないでしょ！」

「行くなよ！」
「離して！綺麗な秘書さんとデートしてくれば！もう、別れたんだし！」

「別れたつもりない！」
「携帯！かして！早く！」
「嫌！何よ！」
勝手に坂本さんに断りのメールを
入れてしまう。

そんな事が何度も繰り返された。

仕事終わりで、

同期のユミと居酒屋で

お酒飲んでクダ巻いて


酔った勢いで、

「わらし〜。ゆ〜ま〜〜が…。しゅきー
ほんとわ〜。でも〜。モテるから
そのうち…ひっ、わらし〜すてられる
だから〜。わらしが、ひっ、バイバイ〜っていったの〜」

「はいはい。紗江飲み過ぎー！」


後は、覚えてない。


気がついたら、
ベットの中。
隣りに、佑磨が…。


「えっ？なんで？あれ？？」

「起きた？ほら、水！」
「すみません…。」


「私…。ユミと飲んでたのに？？」
「あ〜。彼女から連絡貰って
おまえを担いで帰ってきた。うん」
私の頭をポンポンとして

「なぁ。お前、俺のことまだ好きだろ？
なら、俺の側にいればいい。」
「佑磨…。そんなのダメだよ。こんな
三十路女…。だって…。モテモテな
彼氏なんて…。耐えられない」

「バーカ。俺は、お前がいいんだ。」

そんな言葉…。

「ねぇ…。私で…いいの？すっごく
ヤキモチ焼くし…。いい歳して
子供みたいなことばっかり言うよ？」


「それが、紗江だろ？？お前が
いいんだ。」
佑磨の香り…。
熱い胸の中に抱きしめられた。
そんな優しさが私を素直にしてしまう。

ふっと、笑って
「紗江？おかえり。」
「佑磨…。ただいま…。」