ビターな僕の甘いレディ
バサバサバサ…
ひなのの悲鳴で、山にいた鳥たちが一気に飛び立っていった。
「…大丈夫?」
「あ…ごめん…何かびっくりして腰抜けちゃって…」
苦笑いをしたまま地面に座り込んでるひなの。
…別に男のオレからしたら珍しい光景でもなんでもない。
今までの彼女たちが殆ど雷嫌いって子たちだったし。
まぁ、腰抜かすってのは特例だけどさ。
「…はい。」
オレは、ひなのに手を差しのべた。
普通の女の子なら顔を真っ赤にして、ありがとうって笑うんだ。
どうせコイツもそうなんだろうと思ってた。
思ってたのに――…
「いい!自分で立てるから!!」
そう言って、ジャージについた泥をパンパンと払いながら立ち上がった。