ビターな僕の甘いレディ
彼氏を思い出して、幸せそうな表情をするひなのを見つめる複雑な顔のオレ。
そして口には出せなかったモヤモヤは、ついに言葉になって出てしまった。
「…オレの嫌いな顔すんな。」
ボソッと小さくつぶやいたオレの言葉を聞いたひなのは
「すいませんねー!どうせどっかの誰かさんみたいに整った顔じゃないですよー!!」
って本気で言い返してきた。
「…話が全然噛み合ってねぇ。」
「はぁ!?今度はバカって言いたいの!?確かに夏生よりは…」
「違うって!!オレが嫌いな顔ってのは―…」
ひなのの言葉を遮って、オレはひなのの手首を掴んだ。
そして、そのまま近くにあった木に押しつけて逃げられないようにする。
目の前のひなのにオレは、密着した状態の超至近距離で言った。
「―…お前が彼氏のこと考えてる顔が嫌い。」