ビターな僕の甘いレディ
「…とにかくっ、私の頭の中には純しかいないの!!」
ひなのは、雨の音に負けないくらいの声で強くオレの誘惑をけった。
…まーた『純』かよ。
一番目かどうかも分からないのに、そういうの痛いしダサくない?
「『純』『純』って…自分のこと可哀想だと思わないの?」
「……何で?」
ひなのは、目を丸くしてきょとんとした表情を浮かべる。
その様子から、そんなことは思ったことないんだと伺えた。
「だってさぁ…彼氏にとってお前は浮気相手かもしれないんだぞ!?」
「…かもしれないけど!!」
いきなり、オレの洋服を掴むひなの。
「…このまま好きでいたら一番になれるかもって思うんだよ。」
そう言い、今にも泣きそうな表情でオレを見上げた。
そんなひなのの顔に雨の粒が降り注ぐから、雨がひなのの涙みたいに見えたんだ。