ビターな僕の甘いレディ

ひなのは涙目になりながら、いつものように悲しげな表情を浮かべる。




―…これだから本気の恋なんてないんだ。




「…いつも言うけど、オレが彼女の一人にしてあげるって。」



「嫌だ。私が好きなのは純(じゅん)だもん！」






オレの彼女の一人になるのは嫌だけど



ソイツの彼女の一人でいるのはいいんだ？




オレの彼女は、みんな平等だから全員が一番なのに。




その純とかいう年上の彼氏と付き合ってるより全然いいと思うけど。





「まぁ、いつでも待ってるから気が変わったらおいでね。」




極上の笑顔でひなのに微笑んでみせたけど



「…多分、ないと思うけどね。」




と顔すら見ずに流された。