1ミリの勇気【短】
「えっ…あっ…えっ…?」
話せるチャンスなのに、
頭が混乱してうまく話せない。
声が出てこない。
「オレね、部活のとき、
君の弾くピアノの音に励まされてた」
君はあたしに近づきながら、
優しい顔で、優しい声で、
そうゆっくり話した。
目がボヤけて、
涙がこぼれそうになった。
最後なのに、
君と会えるのは最後なのに、
君の顔をちゃんと見とかないいけないのに、
目がボヤけて君の顔がちゃんと見れない。