1ミリの勇気【短】
秋がくると、あたしが受ける、ピアノのコンクールが行われた。
結果はダメだった。
あれだけ練習しても、ダメだったことが悔しくて、悲しくて。
ピアノを触ることも、見ることも嫌になってしまった。
君が頑張ってた姿を思い出しても、
今回だけは立ち直ることができなくて、
それからはもう音楽室に行かなくなった。
ピアノが嫌いになってしまったんだ。
でもある日、音楽の授業のときにピアノの発表をする機会があり、
クラスのみんなの前で、君の前で、
ピアノを演奏することになってしまった。
コンクールで演奏した曲を演奏することになったけど、手が震えて、体が震えて、
うまく演奏することができないかもしれない。
でもなぜか、そのときはうまく演奏することができたんだ。
君が見てるからかな?
君に勇気をもらえたのかな。