闘争少女【前編】完
二階へと続く階段をのぼると
一番端の先に広がる一本の長い渡り廊下が見えてくる
『ここか…』
辺りには誰も居ない……
いや、近づこうとしないため普段からひと通りが少ないのだ。
向こう側に見える大きな扉を目掛け
イスズは渡り廊下に一歩踏み出した。
一歩、一歩、扉に近づいてゆく…
10年以上も開かれていない巨大な扉は少し錆びれていた…
そっと扉に手を添える
特に何か仕掛けがあるわけでもなく
扉の取っ手部分に
チェーンがぐるぐる巻きにされ
そこに大きな南京錠が繋がれているだけだった
とても頑丈といった感じではなかった。
『わたしなら壊せば直ぐにでも向こうに行けるってのに、誰も近づかないからってこんなもんで充分ってわけ……?』
『(……壊してみる、か)』
スゥーと息を吐き……
左足に重心をかけ右脚でおもいっきり横蹴りをした。
バァァアン……!!!
…………
『?!…な、なんで……』
目の前の扉はびくともせず
先ほどとなにも変わらない姿のままだった。
『どうゆうこと?……
こんな簡単な扉の閉め方してるってゆうのに開かないなんて…』
この扉の謎は深まるばかり…
イスズは巨大な扉を見つめることしかできなかった