パラサイト・ラブ
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私と海里の出会いは半年前に遡る。
日本のブランドバッグメーカーである私の職場は女性が大半を占めているため、いつだって女同士のマウンティング争いが絶えない。
とうに三十路を過ぎた私でさえメイクも服も手を抜くことは許され無かった。
そんな戦場のような職場で頑張っている私に不幸は突然訪れた。それはまさに青天の霹靂。
2年つき合っていた彼とは、お互いのプライベートを尊重しながら上手くやっているとばかり思っていた。
しかし向こうは私の他にもよろしくやっていた女が沢山いて、その中の1人が私の後輩だったのだ。私はそれを知ったと同時に彼に別れを告げた。
当然ながら悲しみとも怒りともとれない気持ちをもて余した私は、ふらりと行き着いたショットバーで1人酒を煽った。