最後のコトバ



「梨華ね。タメかぁー」



何が嬉しいのだろう。

にこにこしながら、初対面の人を呼び捨てにする。

イヤ、2度目の対面だけど、初対面と変わらないし。


昨日少しだけ会っただけなのに、なぜ今隣に座っているのだろう。

繋いだ手は放れそうにない。

何を考えて、何を思っているのだろう。

あたしには理解が出来ない。


そんなあたしは、冷めた目で彼を見ている。



「梨華は、何で死にたいんだ?」



ストレートな質問に、少し驚いた。

遠回しではなく、直球だ。

昨日の現場を見られているから仕方のないことではあるけど、ためらいもなくストレートに聞かれるとは思わなかった。

それに、面倒なことは避けたいはず。

いちいち蒸し返さなくてもいいと思う。




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