最後のコトバ
それは、彼も同じだったけど、聞くことはない。
あたしが話したくないのだから、人のなんて無理に聞かない。
「梨華も、最初に比べたらしゃべるようになったな」
「え?あ、そうかな……」
優しく笑う彼の表情は、まだ慣れない。
こんな風に接してくれる人はいないから。
「そう。表情も出て来たし」
自覚はあった。
笑うことまでは出来ていないけど、表情が緩んでいると思う時があった。
慌てて表情を戻すけど、やっぱりバレていたんだ。
会話についてもそうだと思う。
学校にいる時よりも、彼と話している方が口数は多い。
学校にいる時間の方が長いのに。
でも、それは仕方のないことかもしれない。
最近では、普通に話しかけてくれていた子たちですら、あたしに話しかけようとはしなくなった。