最後のコトバ



そんな毎日だけど、自分を保てたのは彼の存在があったから。

学校が終わって、いつものように屋上へ行く。

その時間だけ、気を張ることなくほっと出来る。



「梨華!?どうしたんだ、それ」



驚いた表情であたしを見る。

最初は目立たなかった体中の傷も、ちょっとした隙間から見えるほどについてしまった。

誰が見ても一目で気づく。

それでも、こうやって問いかけてくれる人はいなかった。



「ただ転んだだけ。気にしないで」



上手く笑顔を作ることは出来ないけど、心配かけないように言う。

心配はしなくていい。

その言葉だけで十分だから。


あたしは、手首をギュッと掴む。

それを隠すように、何かに耐えるように掴む。




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