最後のコトバ
ここの傷だけは見られたくなかった。
体中の傷はやられた傷でも、ここだけは自分でやっている。
それも、少しずつ増えていっている。
精一杯強がってはいるけど、本当はいっぱいいっぱいだった。
誰も助けてはくれず、心配もしてくれない。
唯一心配してくれる彼にも、心は開けない。
迷惑はかけたくない。
でも、誰かに助けて欲しくて。
体と心はバラバラだった。
「……え?」
そんなあたしに気づいてか、彼はそっとあたしを抱きしめた。
「言いたくないなら言わないでいい。けど、いざとなったら俺を頼って」
あたしにはもったいないほどの優しい言葉。
大丈夫だよ。
いてくれるだけで、あたしは救われている。
あたしという人間を見つけてくれた彼の存在は、安心出来るものだから。