最後のコトバ
独りになった時、終わらせておけば誰にも迷惑をかけなかったんだ。
そう思った時、屋上の扉が勢いよく開いた。
「梨華っ!」
それと同時に、叫ぶように呼ばれた。
振り向けば、息を切らしている彼がいた。
何を急いでいたのだろうか。
心配、してくれた?
それが自惚れだとしても、これで十分だ。
最後に、あたしを気にしてくれる人に会えたから。
「ごめんね……」
彼と出会ってからのことを走馬灯のように思い出していたら、涙が出て来た。
彼はそれに驚いて、その場に立ちすくむ。
あたしは彼を見つめたまま、後ろへゆっくり倒れていった。
「梨華っ!!」