最後のコトバ
はじけるように走りだし、あたしに手を伸ばした彼が見えた。
結局、届くことなく下へ落ちて行った――――――。
落ちた周りでは、歩行者が騒いでいる。
そこへ急いで降りて来た彼が、近くの人に救急車を頼んだ。
救急車が来るまでの間、必死で彼は名前を呼んでいた。
そんなに心配しなくても大丈夫だよ。
あたしが決めた道だから。
でも……ごめんなさい……。
声にならない謝罪を呟きながら、意識は遠くなっていった。