最後のコトバ
Episode.4*容赦ない時間
「ねぇ、なんでないているの?」
これは、何歳頃だっただろうか。
あたしは黒い服を着て、ママに連れられてお寺に来ていた。
周りには、普段あまり会うことのない親戚もいた。
その誰もが泣いている。
その理由を、幼すぎたあたしは理解出来なかった。
「梨華、パパがお星さまになって遠くへ行っちゃったの……。今日から、ママと2人なの……」
「ふぅん?じゃあ、またいつかあえるねっ」
泣きながら言うママに、あたしは無邪気に言った。
この時、パパが病気で亡くなったための葬儀だった。
だけど、それが分からなかったあたしは、いつか会えると信じていた。
それまで2人で頑張るんだって。
だけど、この日を境にママは変わった。
どれだけ好きだったのだろうかと思うほど、毎日泣き続けた。
酒にも溺れていた。