最後のコトバ
それでも、寂しいとは思わなかった。
姉が何かと気にかけてくれたから。
勉強も見てもらったし、相談なんかもした。
異性の姉弟としては珍しい光景だったのかもしれない。
だけど、物心つく頃からそれが普通だったから。
友達にも話せない悩みとかを姉に話していた。
身内がいなかった俺は、姉に甘えていた。
でも、俺は何も分かっていなかった。
年頃の姉が、周りと違う生活になっていることに。
俺の存在が重荷になっているかもなんて考えもしなかった。
ゆっくりと、でも確実に姉の精神は壊れていった。
俺を養うため、自分が生きるため、仕事を朝早くから夜遅くまでしていた。
その上に、俺が話すものだから姉の休む時間は削られていった。
そのため、見て分かるほどに憔悴していった。
口数も少なくなった。