最後のコトバ
Episode.6*移ろう日々
誰かが泣いている気がする。
誰かがあたしの名前を呼んでいる気がする。
あたしが泣かせてしまっているのだろうか。
生きてって声もする。
あたしは、生きてもいいのだろうか。
みんなの幸せの邪魔にならないだろうか。
迷いながらも、呼ばれる声にあたしは手を伸ばした。
「……ん……」
思わず声が漏れる。
それから、ゆっくりと目を開ける。
目の前には、白い天井が見えた。
顔を右横に向けると、コードがいっぱい見える。
ああ、あたし……戻って来たんだ。
「ん?」
少し体を動かそうとして、左手に違和感を覚える。
ゆっくりと顔を動かし、左手付近を見る。