最後のコトバ
そこには、あたしの手を握ったまま顔をふせて寝ている彼の姿があった。
「どうして……?」
彼がここにいる意味が分からない。
しかも、しっかりと手は握られている。
離そうと少し動かすけど、離れる気配がない。
だんだんと汗ばんでいる気がする。
そうやって手を動かしている時だった。
彼の体が動いた。
気付かれないように手を動かしているつもりだったけど、起こしてしまったらしい。
「梨華!?」
彼が勢いよく起きて、あたしを見る。
「あ……えっと、おはよう?」
何て言っていいか分からず、そんなことを言った。
「大丈夫?何ともない?」