最後のコトバ



手を掴まれることは、これまでもあったことなのに。

急に、心が落ち着かなくなる。



「梨華?」


「え?」


「本当に、大丈夫?」



黙り込んでしまったあたしを、再度覗き込むようにして聞く。



「あっ、全然大丈夫ですっ」



体中に痛みはあるけど、大丈夫な範囲。

むしろ、大丈夫じゃないのは心だと思う。

ドキドキ、バクバク、心は忙しなく動いている。

その理由が分からない。

やっぱり、体のどこかに異変でもあるのだろうか。


戸惑っている中、医師たちが来て検査などをした。

聞けば、あれから2週間も経っていたらしい。

どうやらあたしは、死の淵を彷徨っていたけど、無事に生還したらしい。

体中の痛みは、骨折のせいらしい。




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