最後のコトバ



医師は、奇跡だと言った。

あの高さから飛び降りて、結局は骨折だけですんだから。


別に、そんな奇跡起きなくて良かったと思う。

これは、あたしが望んだ結末じゃなかったから。


その後、リハビリを始めた。

来なくていいと言ったのに、彼は毎日来た。

その中で、見たことある大人も来た。

それが教師だと分かるまで、ずいぶんとかかった。

この人、今更になって対策を練るんだって。

バカげているよね。

だからあたしは、何も話しをしなかった。



「話してくれないと、何も対策出来ないじゃないか」



そんなことを嘆いた。

そもそもが遅すぎる。

今まで見て見ぬ振りを続けていたのに、あたしが自殺をはかったから動くなんて。

こうならないと動かない教師に、期待することなんて何もない。




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