最後のコトバ



そんなこともあったけど、リハビリや検査などが1ヶ月続いた。

退院する日も、彼は来た。

あたしが退院の手続きをしている時、どこかへ連絡していた。


何から何まで自分1人でやっているのを見て、病院の人は不思議そうにしている。

そるもそうだろうな。

学生なのに、親も来ずに全部1人でやっているんだから。

それどころか、見舞いだって彼以外は教師が来ただけ。

身内なんて、誰も来るはずがないから。


手続きが終わったあと、彼の元へ行くと見たことのない女性と一緒にいた。

近寄っていいのか分からず、少しだけ離れたところから2人を見ていた。



「梨華っ」



あたしに気づいた彼が、名前を呼ぶ。

そして、手招きをしている。




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