最後のコトバ
Episode.8*届かないユメー智史sideー
梨華を案内した皐月さんが、2階から降りてくるのを階段下で待っていた。
「智史?そんなとこで何やってんの?」
俺に気づいた皐月さんは、階段を降りながら不思議そうに聞く。
「梨華の様子、どうだった?」
上に聞こえないように、少し声をひそめて聞く。
「んー……」
俺の質問に少し考えながらリビングに戻る。
俺もそのあとを追って、リビングの扉を閉めた。
梨華には聞こえないように。
「まだ、遠慮気味だね。私に対して慣れない。
まぁ、今までのことを考えると仕方のないことかもしれない」
両親がいないことに加え、頼れる人もいない。
その上、学校ではいじめ。